ドリー・クラーク (著)「ロングゲーム 今、自分にとっていちばん意味のあることをするために」を読了したため、レビューしていく。なお、僕のレビューは、思考の整理整頓と個人的に感銘を受けたポイントを押さえていくものなので、本の要約記事ではないことをご理解いただければ幸いだ。
この本の大まかな内容は、成功を掴み取る上で、いかに時間をかけた戦略と忍耐を築いていけるかを、数々の成功者の例をあげながら紹介していくもの。僕もそうだが、夢や理想、目標実現のためにはどうしてもスピード勝負を仕掛けがちだ。特に今の時代においては、どう動けば効率的にタスクをこなしていけるかが重要視されているため、マルチタスクや時短といった時間術を指南する書籍も多い。
そんな生き急ぐ夢追い人たちに待ったをかけているのがこの本だ。とにかく、落ち着いて着実に打って出てさえいれば、誰にでも必ず鐘が鳴る瞬間が訪れるという。
筆者は余白を持つことが大切だと話している。忙しくしている方が前に進んでいる感覚を得られるし、世間からのイメージアップにもつながると考えている人間は多い。だが、一流の目から見れば、その行為がどれだけ愚かなことなのかが瞬時にわかる。やることが多くて忙しいとは、時間管理がまったく出来ていないとアピールしているようなもので、効率的に動くために頭を働かすことができていないという負の証明となっているのだ。脳は自動的にインプットした情報を整理してくれる。だが、整理するにも稼働し続けていては不可能だ。そのために必要なことが余白であり、極端に言えば、どう楽をしながら仕事をこなしていけるかが鍵だということだ。確かに、僕にもやれることはできるだけやっていかなければと思考ががんじがらめになることがある。何もしていない=前に進めていないと思い込んでしまうため、どうにも不安でたまらなくなるからだ。そんな時に下した決断は、決まって良い方向には進まない。チャンスは万全の状態の時でなければ掴んではならないのだ。SNSによって周りの進捗が見えてしまう現代だからこそ、余計に焦燥感に苛まれるのかもしれないが、だからこそ逆の精神状態に整え、じっくり今を俯瞰することがバーンアウト(燃え尽き症候群)を防ぐコツなのかもしれない。
この世は運によって左右されているが、運を味方につけるにも、続けていなければ意味がない。望んでいる成功は必ずしもすぐに手に入るとは限らないからだ。経済のように浮き沈みが激しい上に、運は株価のように目視できるものでもないため、忍耐強く、一つの計画を掘り下げ続けることが大事だと説いている。うまくいかなかったのなら、なぜうまくいかなかったのかをひたすら頭の中で巡らせることが大事。違う道を探すことも方法としては有りだが、限界まで掘削する前に引き返すのは非常にもったいない。もしかしたら、数センチ先に金脈が眠っている可能性がある。得てして、成功者は挑戦を続けた者たちのことを言う。その夢、諦める前に、もうちょっと続けてみてはいかがだろうか?と、僕自身も読んでいて心を奮い立たされた次第だ。
ロングゲームの法則を学んでいると、自身のマインドマップを作り上げていくことが大事なのだと感じた。マインドマップとは、今取り組んでいる仕事はどこに繋げていくものなのか?または、どこから繋がっているものなのかを見える化した思考の地図のことである。人生のロングゲームをプレイしていく上で、一見関係のないようなことや損をしそうな事象が数多く訪れるだろうが、本で紹介されている成功者たちの例を見ていると、思わぬところで夢の活路を手にしている者が何人かいた。無作為に何でもかんでも手につければいいという話ではなく、抑えるべきポイントは、舞い込んできた仕事と理想に関連性があるかどうかを見極めることのようだ。その仕事をどのように取り組めば、目指している理想と合致させることができるのか。無関係で終わらせないために、思考を巡らせることが大事だと言う。
マルチタスクについても興味深いことを記してある。マルチタスクと聞けば、とにかく多くの仕事を同時に進行して時短を図っていくものに思えるが、それだとかえってパフォーマンスが落ちてしまう。一つのことに集中できず注意散漫となるため、密度の高い業務へと落とし込めないからだ。人間の脳の性質上、実はモノタスクで創作をしていく方が断然効率がいいことは、もうお分かりの方も多いと思う。
しかし、これはマルチタスクを否定する話ではない。要は、どういう形でマルチタスクを行うかが肝となってくるということだ。僕らが一つひとつの仕事に没入しきれない主な原因は、互換性のない仕事を並行させているからで、関連性のある作業と作業を組み合わせれば、目指していた効率化にたどり着くことができる。例えば「料理をしながら母親と電話」であれば、どちらも作業の邪魔にはならないため、二つの予定を一気に済ませることができる。他にも「ウォーキングをしながらオーディオブックを聴く」など、双方を阻害しないタスクを組み合わせることで、それぞれの内容に良質なインプットとアウトプットを構築する仕組みだ。
ウサギと亀の話を思い出してほしい。二匹は早さを競うためにレースをすることになるが、慢心したウサギは途中で休んでくつろいでしまう。しかし、例え強烈に歩調が遅くても、ずっと前に進み続けた亀は、瞬発力だけで生きているウサギを追い越し、勝利を手に入れるとい話だ。
この逸話は、まさにロングゲームに通づる理念があると個人的に思っている。時間をかけて挑むということは、自分が勝つために確実な一手を打っていくために必要な戦略だ。バテてしまっては元も子もない。あきらめたらそこで試合終了という名言もあるように、何せ僕らは歩き続けていればいいのだ。歩き続けるためなら、楽をしたっていい。それこそ、どう余白を作って行けばいいのかを時間をかけて考えればいいわけだ。
楽をするという言葉がなぜ悪い意味で捉えられるようになってしまったのかは定かではないが、おそらくはサボるという言葉と紐付けられてしまったことが主な要因だと思っている。待つことすらも仕事にしてしまえば、止まっているようで、僕らは常に挑み続けていることになる。その仕組みを作り込む上で、時間が必要となってくるのだ。これは、お金のために働く労働ではなく、お金に働かせる投資と似ているかもしれない。一人でに動き回ってくれる創作物を生み出せれば、その間、僕らは自分の思考を自由に巡らせることができるのだ。
ロングゲームは、切羽詰まっている方にこそ読んでほしい一冊である。辛い状態で、スイッチが入ってしまっているあなたですら、この本を読むことですぐさま冷静な状態へと精神を戻すことができる。意識こそがあなた自身であるのだから、意識を保ってなければ正しい決断は下せない。是非とも、ご一読してみることをオススメする。
それでは、また。
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