監督:ライアン・ジョンソン 主演:ダニエル・クレイグの映画「ナイブズ・アウト:グラス・オニオン」を鑑賞したのでレビューしていく。
※僕のレビューはネタバレを含む場合があります。興味のある方のみご一読ください。
2020年、世界がパンデミックに襲われロックダウンが相次ぐ中、億万長者のマイルズ・ブロンは、ギリシャにあるプライベート・アイランドに友人たちを招待し、そこで殺人ミステリーゲームを開催する。招待したはずのない名探偵のブノワ・ブランも招かれたと言って現れて、ゲームに参加するが、やがて殺人が起こり、事件に巻き込まれることになる(Wikipediaより引用)。
映画「ナイブズ・アウト:グラス・オニオン」あらすじ
1作目「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」を公開当時に映画館にて鑑賞していたため、2作目となる本作を鑑賞するのは楽しみのひとつだった。なかなかお目にかかることができなかったが、ようやく鑑賞することができたので感想を記す。本作もユーモア溢れる演出で飽きることなく楽しめた。良い意味で、あまり頭を使わず楽しめる探偵物シリーズの映画だ。
大富豪「マイルズ・ブロン」によって、本作における”容疑者”たちのもとに謎の箱が送られるところから物語は始まる。箱のトリックを破ると、そこには一枚の招待状が入っており、マイルズ曰く「破壊者」と呼ばれる角業界のトップランナーたちは、マイルズの所有する島に行くことになるのだった。その中に、シリーズの主人公、有名私立探偵「ブノワ・ブラン」が潜り込み、事件と対峙することになるのだ。
本作は多数のミスリードが仕組まれているが、どのトリックも頭のいい方ならおおよそ察しがつくお手軽なものばかり。と言いながら、僕は見破ることができななかったわけだが、頭を使わず楽しめる推理ものとしてはとっつきやすい作品に思えた。真相が暴かれていく映像演出は非常に快活で、仕組まれていた数々のトリックにヤキモキしていた観客のクエスチョンをテンポよく解消されていく。終盤、真相は暴けても悪事に制裁を加えることができないもどかしさは、社会に潜む闇を感じさせられた。
基本的に、名探偵ブノワ・ブランが初めから95%ほどの謎を解いてしまっているため、難解なトリックと葛藤する主人公を観たい観客にとっては物足りない作品かもしれない。真相を知った上で、いかに制裁を加えることができるのかが、本作のポイントと言ってもいいだろう。ナイブズ・アウトシリーズの醍醐味は、なんといっても個性的な容疑者たちの交錯する人間関係だ。実際にこんな状況に置かれたら笑い事ではないが、第三者目線で観ているととても滑稽で、悲劇もあっという間に喜劇に変化する。
エドワード・ノートン演じるマイルズは、型破りな破壊者こそ新しい時代を築くのだと説く。しかし、最終的に登場人物それぞれがボトルネックとなっている障壁を破壊し、真犯人に制裁を加えることに成功するのだ。自分の深層心理(本当の想い)にたどり着くためにはしがらみを破壊する必要があった。最後はビジネスでの成功を意味する破壊ではなく、幸福のための破壊だったと観客みなにわかるように作り込まれている。
真犯人に意外性がなさすぎたのは残念だが、本作の「破壊者」というメッセージは、胸の内にスッと落とし込めるほど心地のよいものだった。
しかし、最近のエドワード・ノートンはこういう役どころが多いような気がする。芯があるようでないというか、表面上は整っているがどこか破綻している人間を演じるのが上手いからかもしれない。
スカッとしたい。でも、推理ものを観たい方にはとてもおすすめできるので、気になる方は1作目の「ナイブズ・アウト:名探偵と刃の館の秘密」も併せてご鑑賞いただきたい。グラス・オニオンはNetflixでも視聴可能だ。
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