筆者の評論

映画「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」鑑賞・レビュー

監督 ジェームズ・マンゴールド  製作総指揮 スティーブン・スピルバーグ, ジョージ・ルーカス 主演 ハリソン・フォードの映画「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」を鑑賞したのでレビューしていく。

※僕のレビューはネタバレを含む場合があります。興味のある方のみご一読ください。

考古学者で冒険家のインディ・ジョーンズの前にヘレナという女性が現れ、インディが若き日に発見した伝説の秘宝「運命のダイヤル」の話を持ち掛ける。それは人類の歴史を変える力を持つとされる究極の秘宝であり、その「運命のダイヤル」を巡ってインディは、因縁の宿敵である元ナチスの科学者フォラーを相手に、全世界を股にかけた争奪戦を繰り広げることとなる(映画.comより引用)。

映画「映画「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」あらすじ

インディ・ジョーンズシリーズ最新作にして最終章。御年81歳となるハリソン・フォードが再び大冒険へ旅立つと聞いて、公開まで固唾を飲んで待ち焦がれていた。少しばかり出遅れてしまったが、ようやく鑑賞したので感想を記していこうと思う。

シリーズを通して、日常と非日常の境目が絶妙に交錯されたオカルト的展開に毎度心を掴まれていたのだが、今作は間違いなく、今までよりも格段にぶっ飛んだ内容だった。アーク・サンカラストーン・聖杯・クリスタルスカルと来て、最終章は運命のダイヤル……”時空”をテーマに冒険が繰り広げられていく。ダイヤルを使って歴史を変えんと企む元ナチスのフォラーを相手に戦う。

今回のキーアイテムとなる運命のダイヤル「アンティキティラの機械」は、1901年、実際にエーゲ海から引き上げられた古代の沈没船にあった謎多き歯車だ。約82個の破片は、太陽や月、惑星の位置を予測するために作られていたと推測されている。金属片の見た目が限りなく現代に見られる機械(歯車)に似ていたらしい。現在はアテネ国立考古学博物館に所蔵されている。 

作中に登場する運命のダイヤルは、所謂オーパーツ(それらが発見された場所や時代とはまったくそぐわないと考えられる出土品や加工品)と呼ばれるものだ。古代人がどのような知識を持ってアンティキティラの機械を製造したのかはいまだ謎に包まれている。

僕がインディ・ジョーンズを観たのは小学生の頃。当時は単純に冒険アトラクションが大好きで観ていた記憶があるが、インディが”歴史を守り補完する”という大義名分のもとで命懸けの冒険をしていると知ってから、謎は謎であるから面白く魅力的なのだと気がついた。TVやYoutube。雑誌で取り沙汰されているオカルトの探求者たちは、メディアで活躍している時点で商品としてでしか発言ができない。真の探究者、本当のインディ・ジョーンズは名も無き存在として僕らの知らないところで、今もなお命懸けの冒険を繰り広げているのだろう。

毎度のこと、老後のインディのもとにやってくるのは一攫千金を狙う若き冒険者か訳ありの依頼人だ。今作も古くからの友人の娘「ヘレナ」により、過去に預かっていた半欠けのダイヤルの片割れを探すようけしかけられる。あくまでも考古学者として、歴史的な遺産をお金儲けではなく国へ収めるために確保するインディの真摯な理念は、鑑賞者の我々さえも説き伏せられるようにハッとさせられるものがある。彼の生き方は僕らにとってある種の教訓じみたものがあり、誰しもが開口一番にYESと引き受けそうな依頼でも、考古学的根拠もしくは科学的根拠がなければ必ず最初は疑ってかかっていくところに人間としての魅力を感じる。最終的に巻き込まれた挙句、事象を目の当たりにして呆気に取られてしまうのだが。

今回は締め括りということもあり、長らくインディが調査・研究をしてきた分野の真相に迫るシーンもある。本当の意味での彼の下した引退は、往年のファンにとってグッとくるものがあっただろう。僕もオカルトをよく調べているからわかるが、本当に触れたいものはどの本でもどの当事者でもなく、超常現象が起こったその瞬間なのだ。インディが終わりを決める場所は答えが存在する場所だった。だが本当は、内側にある闇からインディが逃げたいだけだったのかもしれない。オカルトは真理でもあるが、現実逃避のツールとしても成り立ってしまう諸刃の剣だと象徴的に描かれていると感じた。

ただ、今回の子役「テディ」の位置付けは正直いらなかったように思える。うまく表現できないが、急に出てきていつの間にかレギュラーメンバーになっているような印象だった。小癪なスリの技術を使って敵を欺き何度かインディたちを助けるシーンはあったものの、テディ自身が何かを学び成長する……もしくは、インディやヘレナの学びに貢献する場面がひとつもなかったからだ。

アントニオ・バンデラス演じる潜水士「レナルド」も、アントニオの無駄遣い感が半端なく、「もしかしてこの人、アントニオ・バンデラス?」と僕らが気づき始めた頃に急に出番が終わってしまう。役作りをした俳優ってすごいなと感心する反面。名優なのだからもうちょっと目立った配役をしてほしかったと個人的に思った。それこそ、テディの代わりにレナルドを旅の仲間にした方がまだ物語に躍動感があったのではないかと感じる。

あと、個人的にヘレナが最後まで好きになれなかった。どういう育て方をしたらあの父親からこの娘が生まれるのかと疑問が拭いきれなかった。金のためなら名付け親の命も得るような女が今作でどう成長したのか、今ひとつわからなかったのも残念だ。

気になる点はあったものの、全体的には大変面白い作品だったので、是非ともご鑑賞いただきたい。映画「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」は、まだ劇場にて鑑賞可能だ。冒険心をくすぐられたい現代のインディたちは、この機会にシリーズを一気見するのも悪くないかもしれない。各配信サイト、またはDVD&Blu-rayで今すぐインディと冒険に出かけよう。

それでは、また。


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