コンテンツそのものに値段をつける文化が薄くなってきたように思う。というのも、現代的に口コミを生み出す手段に「無料配布」が主流になってきたからだ。
商品は買ってから全貌がわかるもの。という定説は覆り、今や中身を知った状態でないと手が出せない人間が多くなっている。僕らは消費活動を行うとき、より確実な商品にお金を払いたいと思う。これは普通のことだろう。買って損をするかどうかを事前に知れるのならば、その方がいいに決まっているし、買い手にも選ぶ権利があるということを理解してもらうことだってできる。とあるドーナツ店が、オープン前に無料でドーナツを配り続け、いざオープンした時に長蛇の列になって繁盛したエピソードがあるが、それは今回の議題の最たる例だ。ドーナツを食べた人たちが、口コミで友達や家族に伝染していったことで「無料配布」という戦略が功を奏したわけだ。
僕は歌手・作家として活動しているが、アーティストにおいても、この「無料配布」的な宣伝方法は生きてくると思っている。配布している間は、当然のことながら収益は得られない。ただでさえ食べて行くのが困難なアーティスト業で、価値の安売りは命取りとなるだろう。だが、そもそもにおいて、知ってもらわなければ意味がないのも周知の事実。口コミで広めてもらうにも、僕らが作る音楽や物語を、確実に観て聴いてもらえなければお客様は判断できないのだ。
ある意味、この無料配布戦略はお客様に親切な宣伝方法だと思う。選択の権利があること促し、腕によりをかけて作り上げたメインディッシュをただで食べてもらうのだから。しかし、その技術の結晶がブレイクに見合ったものなのかは、また別の話になってくる。先ほどのドーナツ店の話も、味が美味しかったからこそ成功した。これが不味いドーナツであれば、口コミは悪い方向へと加速していたはずだ。タダで配るからこそ、作品を創造する技術や思考の鍛錬を怠ってはならない。何せ、あなたが無料で商品を渡した相手は、今後、あなたの情報を拡散してくれるファンになるかもしれない人だからだ。
先行投資は、お金という物質だけにとどまらない。命を賭けて作った商品を大量に配布することこそ、先々を見越した先行投資といえよう。
また、無料で配布する上で、その活動がどこに流れて収益が発生していくのかを、マインドマップ化することも重要だ。例えば、無料で配布することによって、自分の楽曲を聴いてくれる人が増える。すると、その中から数人ファンができ、自身のコンサートに足を運んでいただける。そしてさらに、ご来場いただいた方から数人、LINE公式アカウントやファンクラブに加入いただく…等々。目的を繋げて派生させていくことが大切となるだろう。
収益を上げるために、どこまでを無料にする必要があるのか。何でもかんでもばら撒くわけにはいかないので、価値の線引きは慎重に行った方がいい。僕も今年にメジャーデビューするため、どのようにすれば多くの方にCDを送ることができるか計画を練っている。
現在は、無料配布とまではいかないかもしれないが、「無料配布に似たような形」でたくさんの人に届ける方法を、再びクラウドファンディングを利用したプロジェクトを画策中である。どうぞ、今後の動向にご注目を。
それでは、また。
2月18日「MAGUMAマンスリーコンサート Vol.2」
場所:yomihana~宿花~
神戸市中央区加納町4-7-26藤嶋ビルB1
時間:開場 17:30 開演 18:00
料金:3500円(1ドリンク代込み)
限定20名様まで。
※コンサート後も宿花でご飲食可能です。
※食べ物のみ持ち込みOK。
MAGUMAへの支援
※MAGUMA STUDIOSの制作する映画・映像・文章コンテンツクオリティ上昇、及び上質な物語を発信するため、どうか物品支援や投げ銭でのご協力の程よろしくお願い申し上げます。
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