お前、誰やねん

私は何者であろうか？なんて問いを言い出すと答えがあるようでない哲学的は話になってしまう。だが、それを踏まえても、僕は自分自身が何者かになるために日々躍起になっていると声を大にして言えるだろう。

「お前、誰やねん」

残念ながら、僕はまだ多くの現場でこの言葉を言われる…とまではいかないが、おそらく大半の胸の中では思われていることだと思う。ステージをする時。SNSで自分の考えを発信する時。売り込みをする時。僕の周辺には常に「お前、誰やねん」の吹き出し文字が乱立してくる。それを取り払うために、丁寧に丁寧に間口を広げてゆき、「敵ではなく味方であること」を示してゆくのだ。それはもう、時間と労力をかけて。

ある人が、何者でもないあなたに多くの時間は与えられていないと話していた。それもそうだ。誰かわからない人の長話を聞く人なんていないし、誰かわからない人の信念を聞いたところで心に響きにくい。にも関わらず、僕ら何者でもない者たちは、無神経にも押し付けるように告知をしてシェアを要求する。よくよく考えれば乱暴で、いきなり見ず知らずの人へチケットを押し売りするようなものだ。対面でやると失礼に当たることだとわかっているのに、いざインターネットを通すとダイレクト攻撃を平気でやってのけてしまう。この辺りの作法を、今一度見直した方がいいのかもしれない。

僕のようなアーティスト業はもちろんだが、この話は全商売に共通しているテーマ・課題であると思っている。何度も記事で書いているように、人検索の時代において、個人の信頼は必要不可欠だ。あの人の商品だから。あの人の店だから趣き、購入する。世間の人々は無意識に商品だけではなく「販売している人」を基準に購買の意思を決定しているのだ。

ネットがいかに普及しようとも、原始時代から受け継がれてきた対面でのコミュニケーションは廃れていない。むしろ、今だ強力な効果を発揮する手段として生き続けている。

いかにネットに利用されるのではなく、利用する側に回れるのかが肝になり、自身の体を通してどこまでスイングできるかが勝負の決め手になるだろう。当然、誰よりも振り続けた人の方が打率は圧倒的に高いし、誰よりも弾を撃ち続けた人の方が命中率も上がる。できるだけ多くの人と出会い。そして種を蒔くように。網を張るようにして人脈を築き上げ、自分という存在を周知し、信頼という名のポイントを稼いでいくことが大切で、そのポイントは必ずいつか還元されて自分のもとへ報酬となり帰ってくるだろう。

僕もそうだが、皆、それを心の中ではわかっているのだが、なかなか重い腰が上がっていない。ある意味ブルーオーシャンで、誰もやっていないうちにどんどん交流をして行った方が成功率も上がり、理想に近づくスピードも変わってくるはずだ。何よりも危険なのは、行動しないこと。これ一択なのだから。

僕は何者であろうか？あなたは何者であろうか？

その答えを知るためには、とにかく、表の世界へ出ていかねばならない。戦いはもう始まっている。

それでは、また。