筆者の評論

映画「THE CORE」鑑賞・レビュー

監督:ジョン・アミエル 主演:アーロン・エッカート ヒラリー・スワンクの映画「THE CORE」を鑑賞したのでレビューしていく。

※僕のレビューはネタバレを含む場合があります。興味のある方のみご一読ください。

オーストラリアや日本での鳩の大群などの動物の異常行動を皮切りに、ある日の午前10時30分、ボストンでのペースメーカー使用者32名の突然死や、スペースシャトルエンデバー」の電子機器異常、さらにスーパーストームなどが発生し、地上は大混乱に陥る。

調査を行ったシカゴ大学教授ジョシュ・キーズと、コンラッド・ジムスキー博士は、これらの原因は25万年に一度起こるとされる地球の核(コア)の回転が停止し、地球の磁場が不安定になったからだと突き止める。「このままだと磁場が消失し、太陽風にさらされ1年後に地球は滅亡する」と結論。彼らはコアを再始動すべく、「停止してしまったコアを包んでいる液状の外核部分まで潜行し、そこで核爆発を起こして、その衝撃でコアの再回転を促す」という作戦を立案、世界中から各分野のスペシャリストが招集された。自らを含めて6人から成るチームを編成したキーズらは、ブラズルトン博士が開発した特殊合金で出来た特殊車両「バージル」で地下2,000マイル (3,200 km)へ潜行する(Wikipediaより引用)。

映画「THE CORE」あらすじ

名のあるハリウッドスターで出演しているのにも関わらずCGはびっくりするほどちゃっちかったりと、予算があるのかないのかよくわからない映画だったが、浪漫と物語性はピカイチの作品だ。

人類が未だみたことのない地球の中心「コア」が停止したことで、地球滅亡の危機に瀕した人間たち。解決方法は、コアへと赴き再始動を図ることだった。まず、各エキスパートが集まっていく過程が非常に面白い。それぞれが抱える課題をバランスよく演出しながら、一同はコアへと辿り着くために製造・訓練をつんでいく。

蓋を開けると大規模な人類の尻拭いで、”地球に被害を及ぼしているのは結局のところお前たち人類なんだよ”という辛辣な裏メッセージが受け取れる。この作品は、環境問題や飢餓など、要するに我々人類の自業自得によって訪れる終末”地球のコア”を通して「資源は大切にしなさい」「住む家は綺麗にしなさい」と伝えたかったのではないか。

あと、個人的に矛盾と違和感を抱いているところもある。そもそもにおいて、今作のコアの停止は、行き過ぎた人類の文明と探究心によって引き起こされた問題である。にも関わらず、核爆発によって再回転を図る点は、遠回しに核の所有を肯定しているように見えてあまり好きにはなれない。それとも、人間の負の遺産を、負の遺産で消滅させる。いわば、化け物には化け物ぶつけんだよスタイルを見せつけ、罪を相殺できることを見せたかったのだろうか。そうして新たな今日を迎え、人類史を白紙からスタートさせる姿を描き、我々に注意喚起と希望を象徴的に発信したかったのかもしれない。あくまでも憶測に過ぎないが。

人類が地底を掘削できたのはわずか12キロほどだと聞く。要するに、まだ僕らは地球の中がどうなっているかわからないのだ。学者それぞれの計算・推測・エビデンスを持って様々な見解がなされているが、結局のところ歴史の授業と一緒で、そこに行ってみなければわからない。唯一違う点は、地球のコアへは時間を遡らずとも行ける可能性はあるということだ。

今作は、そんな数少ないエビデンスをもとに作られた恐ろしい中にも夢のある物語だ。人類への注意喚起と対逸れた解釈をしているが、実際のところは、この星にはまだまだ未知で魅力に溢れた夢と浪漫で満たされていることを映画を通して魅せてくれている。

乗員一人ひとりが課題と向き合いクリアしていくごとに命を落としていく様は、一見感動的な場面に見えるかもしれない。しかし”一度死んでしまえば人生にはやり直しが効かない”という厳しい現実を突きつけてくる。

個人的に、「負けを知ってる者がリーダーになれる」というロバートの台詞が非常に感慨深く思った。勝ち続けているエリートの部下「レベッカ」に対する皮肉だろうが、その言葉には鋭利な刃で心臓を貫くような本質が詰まっていたように思う。単なるパニック映画というよりは、人間の教訓を映し出した作品だった。人生と地球と向き合うときに、映画「THE CORE」は必要な教材となるのかもしれない。


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