昨夜、とある集まりに顔を出した。そこでは、音楽の中でも歌をこよなく愛する人たちが集まり、自慢の歌声を披露していた。僕も、練習がてら、何曲か歌わせていただいたが、大変楽しく感慨深い時間を過ごすことができたと思っている。
以前、音楽史についての記事を執筆したが、その記事の中でも、音楽には社会的な繋がりをもたらす不思議な力が宿っていると書いた。音楽によって意志を伝え、音楽によってコミュニティが形成し、音楽によって幸せを得られる。認知的革命をもって言葉を会得した僕らは、音という媒体を使ってコミュニケーションの先にある高次元のやり取りを可能にした。その高次元なコミュニティの一つが、昨夜参加したような集まりになる。
高次元と言っても、ただの人間が集まるごく普通の飲み会に近いものだ。宇宙人だの何だのと語るつもりはない。ただ、この普遍的な日常の一部こそ、僕はとても大切で特別な体験だと思っている。僕は人見知りなためあまり会話はできなかったが、それでも、皆が楽しそうに音で空間を幸福で満たしている光景は、見ていて楽しかったのは確かだ。
音楽といえば夢。夢を叶えたいアーティストはたくさんいる。どうしてもビジネスに発展させたいがために、アーティストは必死にもがいて苦しんで、理想の未来を手に入れようと葛藤する。原点にある音を楽しむことを忘れてしまい、心も体も疲弊して帰ってくる者も少なくない。僕も、そのうちの一人だった。長い休止を挟んだのも、一度自分の思考を整理し、改めてアーティストの自分と向き合って問答をしたかったからである。
結果的に、まもなく歌手として復帰することになるのだが、昨日の集まりを体感して、音を楽しむとはどういうことかを思い出した。そこでは何の境界線もない、ただ歌を唄うというシンプルな図式で出来上がっていて、誰もが楽しみ、そして喜んでいたのだ。
僕は、音楽というものがどういうものなのかを忘れていた。なぜ歌うのか。なぜ奏でるのか。エゴの付け入る隙のない音楽の真髄は、第一線の音楽業界やプロのステージではなく、カフェで楽しむ雑談のように、何気ないコミュニティの中に存在しているのかもしれない。
昨夜、共に時間を共有してくれた皆様に、この場を借りて改めて感謝の言葉を申し上げたい。本当にありがとう。願わくば、またどこかで出会えんことを。
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