ピンポイントで問題を解決しようとすると返って渋滞を引き起こすらしい。物事を開始する前に基盤を整えることは大切なことだが、いわゆる”5%のできる人間たち”は、まずは初めてみて、その都度フィードバックして改善点を導き出していくそうだ。一般的なチームは一つひとつに対して審議を重ねていくのに対し、少数のできる人たちは結果に重きを置いている。結果を見て判断し、なぜこの結果になったのかを分析・検証を繰り返していくのだという。
確かに、作業をしたことに対して達成感を抱く者と、結果を出してから達成感を抱く者とでは雲泥の差がある。結果に意義を求める者はとにかく効率よく作業を進めるよう努めるため、ゴールに向かってひたすら実践を積んでいく。つまり、歩き続けているわけだ。もちろん、道中でつまずくことも多々あるだろうが、結果に意義を見出す者たちは”なぜあそこでつまずいたのか”とフィードバックに費やすことに時間を惜しまない。
学びの基本的なプロセスは、すべて反復することが課題となる。闇雲に反復していても仕方がないため、どのようにすれば効率よくアウトプットしていけるかが重要となるのだろう。これはビジネスやアート、暗記などに幅広く応用できる思考法だ。
たとえば、僕は歌手なので歌詞を覚える作業は避けることはできない。覚え方は人それぞれだが、僕の場合は、人間の脳の仕組みを利用した暗記方法を用いる。人間は、情報をインプットしてから二週間のうちに2〜3ほどアウトプットすることで、その情報が生きていく上で重要な記憶として取り扱われ、長期記憶として保存されるようプログラムされている。なので、歌詞を覚えて1時間ほど歌い込んだら、僕はあえてその後は何もせず寝かせてしまうのだ。そして2日後あたりにもう一度練習することで、少しずつその歌詞が重要な情報として脳が覚えるようにシステムを構築し始める。先ほど言ったように、闇雲に反復していては思考が整理されないままどんどんと余計な情報までも取り入れてしまうため、作業の渋滞を引き起こしてしまうのだ。毎日がむしゃらに歌い続ける必要はない。適度にリラックスした状態で歌詞は覚えられるし、体力の温存も可能となる。あくまでも僕のやり方なので、参考程度にとどめていてほしい。
スポンジも水を含み過ぎれば吸収できなくなるように、まずは吸い切った水を一度絞り出してしまうことを忘れないようにしなければならない。吸収した水の中には、必ず不純物が紛れ込んでいるからだ。出し切ってから、必要な水だけをもう一度吸収していけば、その作業はより新鮮なものとして記憶の中に残り続けていく。
歌詞の暗記方法を例にしてみたが、ビジネスにおける結果重視の思考法にも、これらの暗記方法と共通点があると個人的に思っている。歌詞の場合は、頭の中に歌詞や物語を刻み込み、観客の心に伝わることを目標として暗記する。暗記をした方が、物語を身振り手振りで表現できるし、何よりも歌詞を忘れるといった不安から解放され、パフォーマンスに一点集中できるようになるからだ。同じように、まずは何を目標として、どんな結果を導き出したいのかを明確にしておかなければ、道中でつまずいたり道に迷ったりした際に、余計な対策を打たずに済む。辿り着きたいゴールさえ見据えていれば、手をつけなくてもいいものと付けた方がいいものの判断がやりやすくなるという。
あまり効率的な話ばかりすると人間味がなくなって嫌がられるかもしれないが、時には嫌で薄情な側面にも目を向けなければ、時間を浪費してしまうことになりかねないものだ。これらを念頭において、チームで動く仕事に就かねばならないときに活かして行けたらと思う。
それでは、また。
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