筆者の思想

他人のことは”国”だと思え

他人の課題に介入することは、心理学上でもあまりお勧めされていない。その課題は当人が解決しなければならない問題であり、わざわざその荷物を自分が抱える必要などないからだ。この理論だけで捉えて説いてしまうと血も涙もない発言となってしまうが、ある程度の冷酷さがなければ、人間の作った社会で生きていくには非常に困難な道を言えるだろう。

そりが合わない人間をどうにかして変えてやろうと躍起になったことはないだろうか?怒りを曝け出して討論し、強引に物事を進めようとしたことを。だが、そういった力任せの取り組みはえてして上手くいかず、事態を悪化させてしまうか、冷戦状態に陥ることが関の山だ。

僕は、自分とは違う人間のことを一つの国として捉えている。もっと大袈裟に表現すれば、別の星だ。人を変えるという行為は、他の国にパスポートなしで土足で踏み込んだ挙句。自分の国の法律を強引に樹立させることと同義である。当然だが、そんなことをしようものならその国は徹底的に防衛策を取り、程なくして戦争が勃発するだろう。その国にも、長い年月をかけて構築してきた独自の法律が存在するからだ。

まずもって、人を根本から変えることなど他人ができるはずがない。できたとしても、ほんの少し考え方に変化をもたらすことくらいだ。要するにキッカケ程度しか僕らに人を変える力はないのだ。人と人との付き合いは、たとえそれが一対一であったとしても、国同士が行う緻密な駆け引きと同じレベルで慎重になったほうがいい。大きかろうが小さかろうが、違う世界を持つ者同士が交流すると、日々、国家間で起こっている争いや交渉と同じような問題が僕らの対人関係でも生じてくるからだ。

戦争を避けたければ、極力その相手とは関わらないこと。そして、その国の課題を自国が背負いこまないことが肝となる。反対に交流を持ちたいのであれば、互いの国の法律や文化に理解と敬意を払って付き合えば円満な関係を築けるだろう。

小規模で人間関係を捉えてしまうから俯瞰して見ることができなくなるのだ。その結果、起こさなくてもよかった喧嘩が起こり、くだらない愚痴を言い合うハメになる。もっと視野を広げ、国や星といった概念から見てみると、いかに僕らが他人との関わり方に慎重さが欠けていて、ちっぽけなことで悩んでいるのかがわかる。

人間関係に悩み始めてきたら、まずは他人を国だと思おう。

そうすれば、まずはその国のことを知るために情報を集めようとするだろう。そこから和平を結ぶか。それとも距離を置くかを考えればいい。戦いでは何の解決にもならないのだから、間違っても武力をもって乗り込んではならない。自分の国を守ると考えれば、もう少し深い決断を下せるようになれるかもしれない。

それでは、また。

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