筆者の小説・詩

詩「偽物」

覗けばみんなが笑う

中には例外もいるが

大抵の場合はみんな笑う

ここにいた証を残すことに

躍起になって笑っている

待ち受けているものが無であるならば

そんな爪痕はなんの肥やしにもならない

むしろ無を恐れるからこそ

「ここにいる」を体現し続けるのだろう

透明の壁をとおして見える君たちは

果たして本物と言えるのだろうか?

事実が消えて失うような思い出なら

そこに価値など存在しない

生きている

ただそれだけで良い

息を吸い吐いている

それだけに満足していれば良い

耽り募った思考の荷物を

頭の片隅にまとめたところで

偽物たちの証を残すために

人差し指でボタンを押した

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