筆者の思想

情熱は僕らを待ってくれない

熱いものを熱いうちにいただく。食事に限らず、仕事への情熱に関しても同じような心構えで動いている。美味しい食事も冷めると味が落ちてしまうように、仕事も温かいうちに処理していかなければ、気持ちが冷めてやる気もなくなってしまうからだ。と、わかってはいてもなかなか行動に移せないのが文明病にかかった現代の人間であり、僕も、どちらかと言えばそのうちのひとりだった。どうして最近、スピードにこだわり出したのかというと、依頼があってからすぐに約8割型の仕事を終わらせてしまうことが、精神的にも効率的にも素晴らしい結果を出せることを実感したからに他ならない。

1週間後に納品であれば3日。1ヶ月後に納品であれば1週間で全体の仕事の8割を仕上げてモックアップ(模型)を作ってしまう。そこから実際の創作にどれくらいの時間が必要になるかを判断し、時間を要する場合は先方に事前に連絡。その時点で8割型できている状態なので、残りの仕事は、流しながらでもできるような微調整を淡々とこなしていくだけだ。

鉄も冷めないうちに叩かなければ形を作ることができないように、僕らの情熱も時間が経てばアイデアも想像力も冷えてしまうため、理想としていた作品を世に残すことができなくなってしまう。時間をかけるという行為は、それなりにリスクが伴うものなのだ。とにかく、これだと思うものが頭の中に浮かんだら、その時点でほぼすべての作業を一気に終わらせてしまう必要がある。ちなみに、その期間中は他の業務は一切なしにして取り組むことで効果を発揮できるので、是非お試しあれ。

ほとんどの人が、夏休みの宿題を最後に回して後悔した経験をお持ちだと思う。あの時の精神的な苦痛はいまだに忘れることができない。あろうことか、大人になった今でも、僕らには「仕事を後回しにする」習慣が根付いてしまっている。あわよくば娯楽に走り。あわよくば優先順位を無視して他の熱い仕事に逃避する。ここはひとつ、大人として仕事のやり方を考え直さなければならない。なぜなら、仕事はたったひとりだけでは成立しないからである。たったひとりの遅れでその他大勢のスケジュールが掻き回されてしまうのだ。

当たり前だが、他の人にも取り組むべき仕事がたくさんある。僕らの仕事に携わってくれる仲間は、そんな仕事の合間を縫って協力してくれている。だからこそ、僕らは時間と向き合って、いかに迷惑をかけず仕事をこなしていくのかを考えなければならないのだ。それは、どの職業であっても共通する理念だと思っている。誰かを巻き込んでいる以上は、敬意を払って取り組むことが重要だろう。

特に、僕らのようなアーティストは時間にルーズな部分が悪目立ちしている。それもひとえに、時間を守らないアーティストが多いからに他ならない。創作活動であっても、他者を尊重した仕事を心がることは忘れてはならないことだと思った今日この頃だ。

それでは、また。

3月24日「MAGUMAマンスリーコンサート Vol.3」

場所:yomihana~宿花~
神戸市中央区加納町4-7-26藤嶋ビルB1

時間:開場 17:30 開演 18:00
料金:3500円(1ドリンク代込み)

限定20名様まで。

※コンサート後も宿花でご飲食可能です。
※食べ物のみ持ち込みOK。

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