素直さを拒絶してはいけない

人は自分を守りたいばかりに、本心とは真逆の行為に走りがちである。素直さとは良くも悪くも運命を決定付けるために大切な要素となるが、素直である事を恥じる者や、素直であることが正義だと思い込んでいる偏った思想を持った人間があまりにも多い。要するに、皆が皆、良かれと思って偽りの衣を纏ったがために、結果的に大損しているという話だ。

かくいう僕も、そのうちの一人である。バカさを隠そうとして、帰ってバカな部分を強調させてしまったり。わからないことを「わからない」と言えず、何の学びもないまま生きてきてしまっていたりと、思い返すだけで心がむずがくゆなってくる。

なりたい自分が明確にあるはずなのに、なぜか、なりたい自分とは正反対の行動をしてしまうのはどうしてだろうか。文明が発達し、隠して飾ることが当たり前の世の中になってしまったからだろうか。コロナが蔓延し、マスクをすることが義務のようになってからというもの、僕らはますます自分の顔や心を隠して生きる人種へと変貌してしまった。

ありのままで生きるだけでは破滅をもたらすのかもしれないが、それでも、僕らの素となっている自分自身を見失っていいわけではない。子供の頃のような、素直さを取り戻さなければ、求めている幸せはいつまで経っても遠く離れていくばかりだ。無意識のうちに、僕らは着飾ることに必死になって幸せを拒絶している状態なのだ。

人類史なんて、恥ずかしいことばかりなのだから、今さら個人レベルで恥を抱えていてもなんてことないはずだ。地球レベル…いや、宇宙レベルで俯瞰して見れば、そんな恥など塵よりも小さく、問題にすらならない。でも、僕らはいつも、自分の殻の中で記憶と戦い続けている。おきもしていない未来の事件を想像し、常に不安を生産している工場のようなものなのだ。

人間は愚かな生き物だと省みることができるのは、唯一人間だけだ。これを呪いと取るか恩恵と取るかは当人次第だが、少なくとも僕は、人間として授かった智慧をもっと有意義に使っていきたいと思う。好きなものは好きと言い。嫌いなものは嫌いと言える人間になり、なりたいものになるためにひたすら追い求められる少年のような人間になるために。

今日はまだまだ終わらない。がんばろう。

それでは、また。