筆者の小説・詩

詩「春の人」

今でも記憶の中であなたは微笑む

小さな僕を包んでくれた あれから時が過ぎて

冷たく眠る側でそっと佇む 

声をかければ応えてくれる それはもう叶わない

横たわるあなたの隣で 甦るあの日々

臆病で泣き虫な 僕を受け入れてくれた

物言わず暖める 春のような人でした

あまりに短すぎる 命の時を

誇らしく咲き 散りゆく花に あなたの姿を想う

嵐の夜が来ても 雨が降っても

何も語らず見守っていた その瞳忘れない

そこにいたはずの存在を 目を閉じて感じる

「怖いんだ」「辛いんだ」 泣きたくなる夜もある

けれどもう大丈夫 僕は強くなりました

時々夢の中で現れて消えてく

あなたはずっと僕を導いて

冬を越えさせてくれる 今でも

見送ったあの日から 幾度目の春だろうか

空を舞う花びらが 背中を押したようです

生きているこの場所で 大人になり生きている

この声よあなたへと 春風に想い乗せて 春風に想い乗せて

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