筆者の思想

平凡こそが一番の”特別”

僕は普通という言葉について、よく考えを巡らせている。時に安堵を与えてくれる普通と、牙を剥いてくる普通。日々、両方の普通を体感している僕らは、いったいどの普通を信じればいいのかわからなくなっているのではないか? と、疑問を抱いているからだ。

日常に飽き飽きしている人間は、より刺激的な体験を求めて、非日常に憧れを抱いている。漫画やアニメ、映画の世界は、そんな非日常を擬似体験させてくれる娯楽として需要と供給が成立しているのかもしれない。

日常という言葉を”普通の生活”とするならば、非日常は”普通じゃない生活”となる。だが僕は、”普通で平凡な日常こそが特別”なものだと思うのだ。

普通については、note創作大賞にも応募したエッセイ「普通じゃない僕の生き方」で赤裸々に綴っているので、是非読んでいただきたい。当ブログにも公開中だ。

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人間に言語がある以上、言語を超えた真理に辿り着くのか困難、もしくは不可能なことだと思っている。なので、普通がいったい何なのか思考を巡らせたところで迷宮入りすることは確実だ。僕はもちろん、人の半数は”考えても仕方のないこと”に悩み、焦がれて行動している。人はみんな幸せになるために生きていると思っている僕は、考えても仕方のないことに脳みそが持っていかれることは避けては通れないことなのだと捉える。幸せになるためには、悩みを解決して望みを叶える必要があるからだ。自己実現をするために、考えても仕方のないことに人間は立ち向かわねばならなくなる。

しかし、物と同じで、精神においても必要なものとそうでないものが必ず存在する。取捨選択をしたのち、いらないものは思い切って断捨離していかなければ、やがて溢れかえって本当に必要なものが何なのかわからなくなってしまうのだ。多くの人間がこの状態に陥ってしまい、元々持ち合わせていた普通…つまり、特別なものを見失っていくのだろう。

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普通じゃない刺激的な人生を求める人は、ある条件を満たせば分泌されるドーパミンに支配されてしまっている可能性が高い。快楽物質であるドーパミンは、パチンコや性的欲求から成る幸福のホルモンだが、持続性は極めて低いとされている。手っ取り早く手に入る幸せは長続きしないのだ。しかし恐ろしいことに、脳は”刺激的な行為が気持ちいい”と覚えてしまうため、またすぐに度を超えた欲求を追い求めてしまうらしい。渇望はやがて依存に変化し、それなくしては生きていけないほどに人間を退廃させてしまうのだ。

僕ら人間は”足るを知らない生き物”だ。

動物界は、必要な時に必要な分だけしか獲物を取らない。僕らのように、食欲に負けて深夜にラーメンを食べに行ったりしないのだ。それはなぜか? 彼らは生きられる分だけ食べられればそれで満足だからだ。動物たちは自然の循環に則した模範的な生き方をずっと繰り返している。唯一それに抗っているのが人間で、僕らは人類規模で普通というレールから外れた生き方を選択し、元々そこにあった自然や資源を蔑ろにしている。後になって「あれが足りない」「これが足りない」と国々が騒いでいるのは、酷く滑稽な有様だ。だが残念ながら、人類の一人である僕にも責任は永遠について回るだろう。

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僕が書いてきた人間の事象は、”人間だから普通のこと”と安易に片付けられてしまう内容だ。しかし、地球の法則に反する”普通じゃない行動を普通”としている以上、本当に特別なことに気がつけなくなるのは非常に勿体ないことだ。

一人の変化が大勢の変化に繋がるというのなら、まずは個人が生き方を変え、今ここに在るものが特別だと心から幸福を感じることが第一歩ではないかと僕は考えている。いきなり、人類全体の思考のハンドルを握ることはできない。最初からフルマラソンを走れないように、まずは短い距離から走り始めることが大切なのだろう。そして間違いなく、僕らには平等に、物事を成し遂げられる力がこの体に宿っている。刺激ばかり求めていてはこの事実に気がつけない。今一度、あなたの中に眠る可能性を大切にしてほしいと切に願う。

いつか僕自身がこの記事を読み返したとき、考えを改められるよう渾身の想いを込めて執筆をした。

不安定で不完全。しかし完璧な人間として誕生した僕らの旅は、どこまで続くのだろう。寿命というものがある以上。終着地点を見るという刺激的なことができないのは非常に残念だ。しかし、これが普通なのだから仕方がない。

それではまた。

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