筆者の評論

映画「アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲」鑑賞・レビュー

監督:ティモ・ボレンソラ 主演:ララ・ロッシ ウラジミール・ブルラコフ ユリア・ディーツェの映画「アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲」を鑑賞したのでレビューしていく。

※僕のレビューはネタバレを含む場合があります。興味のある方のみご一読ください。

月の裏側に潜伏していたナチスが、UFOの大群を率いて地球を侵略するという大胆な設定で注目され、有志から資金を募って製作されたことでも話題を集めたSF映画「アイアン・スカイ」の7年ぶりとなる続編。月面ナチスの侵略を退けた人類だったが、その後、自ら引き起こした核戦争によって地球は荒廃。それから30年後、人々はナチスが建設した月面基地で生き延びていたが、月面基地のエネルギーが枯渇し、人類は絶滅の危機にあった。そんな状況に胸を痛めていた月面基地の機関士オビは、地球の深部には未開の世界「ロスト・ワールド」が広がっており、そこに新たなエネルギー資源があることを知り、仲間とともに「ロスト・ワールド」へと旅立つが……。前作を生み出したフィンランドのティモ・ボレンソラ監督が、今作でもクラウドファンディングでファンから資金を調達し、製作した。

映画「アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲」あらすじ

先日レビューしたとんでも映画「アイアン・スカイ」の続編にあたる作品だ。前作も大概が皮肉とユーモアで演出されていたが、今作は前作をも凌ぐすっからかんエンターテインメント作品として昇華していた。間違いなく、これは褒め言葉である。

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オカルト界の定番である「レプティリアン」や「地底都市アガルタ」をぶっ込んできたあたりで、今作も遠慮なく世界の本質にメスを入れる作品として描かれている。ちなみにレプティリアンというのは爬虫類型知的生命体の名称で、人類を低次元に留めるべく人間(中でも上流階級にいる存在)にシェイプシフト(変身)し、世界を裏で操っている宇宙人のこと。都市伝説でもスピリチュアルの世界でも広く扱われている存在だ。前作では登場しなかった重鎮「アドルフ・ヒトラー」も満を辞してその姿を現した。

そして、今作で立ちはだかる敵はヒトラーだけにとどまらない。ウルホ・ケッコネン、マーガレット・サッチャー、ローマ法王、チンギス・ハーン、イディ・アミン、マーク・ザッカーバーグ、アドルフ・ヒトラー、ウサマ・ビン・ラディン、ウラジーミル・プーチン、カリギュラ、ヨシフ・スターリンという、世界を牛耳る各国のトップが主人公たちの行手を阻む。上流階級の人間に変身し溶け込んでいる宇宙人レプティリアンを彷彿とさせるデザインだが、劇中ではレプティリアンや人物の名前など直接的な表現は避けられている。

ちなみに、スティーブ・ジョブズまで登場している。政治界のアベンジャーズだけあって、それぞれの役柄があまりフューチャーされなかったのは勿体無い。プーチンに至っては、冒頭で踊っている場面でしか登場していない。マーク・ザッカーバーグも会合で黙って座っていただけだった。画像に写っている面々すべてが登場しなかったのは予算と時間の都合だろうか。やはり資金は大事だ。

ジュラ期に訪れた知的生命体が、恐竜と共に地底世界へと逃げ込み文明を築いていた各国首脳たちは、実は地上侵略を目論む地球外生命体だったというとんでも設定。前作で地球から月面基地へと逃亡した人類は、地底世界を照らすエネルギー「ヴリル・ヤー」を求めてアガルタへ侵入。そこで待っているのが、地上侵略に向けて暗躍するヒトラー率いる著名人軍団というわけだ。

例の如く世界観の追求は最低限しか行われず、物事はとんとん拍子に進んでいく。アガルタへ通じる穴を探すために広大な南極大陸を探索するはずが、墜落したその場所が運よく地底世界へと繋がっていたりなど、良い意味でご都合主義を貫いていてテンポがいい。

地球外生命体による人間の捕食(レプティリアンは人間を捕食する)など、意外とグロテスクなシーンが多いのもグロ好きにとっては注目のポイントだろう。とは言っても、そこまで過激ではないが。

前作の主人公レテーナは継続して登場しているが、残念ながらジェームズは亡くなっている設定だったため登場しない。個人的に、30年の間どのようにして月面基地を建て直してきたのかも知りたいところだったので、その辺りのバックボーンは掘り下げられなかったのは残念だった。

アイアン・スカイシリーズは、登場人物それぞれに別段課題というものがなく、どちらかと言うと「こう言う映画面白いだろ!?」にパラメーターを全振りしているので、映画を見て深く考察をしたい人には物足りない作品かもしれない。一方で、ここまでパラメーターを振り切ってしまえば、ちゃんとエンターテインメント作品として成り立つのだなと感心もした。ただ、ヒトラーの最期があまりにも呆気なかったので、個人的にはもう少し白熱した戦いが観たかったというのが本音だ。

日々、情報量に悩まされている人のストレス解消映画としては素晴らしい仕上がりになっていると思うので、興味のある方は是非ともご鑑賞いただきたい。

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