筆者の評論

映画「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」鑑賞・レビュー

監督:ギレルモ・デル・トロ 主演:グレゴリー・マン デビッド・ブラッドリー ユアン・マクレガーの映画「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」を鑑賞したのでレビューしていく。

※僕のレビューはネタバレを含む場合があります。興味のある方のみご一読ください。

おもちゃ職人のゼペットじいさんが作った操り人形のピノッキオに命が宿る。本物の人間になりたいと願うようになったピノッキオは、冒険の中で苦難を乗り越えていく。世界中で愛される、誰もが知る名作のおなじみのストーリーを、ギレルモ・デル・トロと、「ファンタスティックMr.Fox」でアニメーション監督などを務めたストップモーションアニメの名匠マーク・グスタフソンが共同で監督を務めて描いた(映画.comより引用)。

映画「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」あらすじ

ウォルト・ディズニーの「ピノキオ」を覚えているだろうか? イタリアの作家・カルロ・コッローディによる児童文学作品『ピノッキオの冒険』を原作とした有名作品だ。原作版は非常に辛辣で、ディズニーが子供向けアニメにするためにとても困難を極めたそうな。今回は原作版でもディズニー版でもなく、ギレルモ・デル・トロ版のピノッキオだ。

結論から言うと、命は有限であることを教えてくれる素晴らしい作品だった。

さすがはギレルモ・デル・トロ。まずは、ストップモーションアニメで描かれる登場人物たちのデザインが独特の世界観を放って惹きつけられる。特にピノッキオやブルーフェアリー、コオロギなどのお馴染みのキャラクターのデザインは、美しさと不気味さの両面を兼ね備えたデル・トロ節が効いて妙にリアリティがあった。

今作はピノッキオの冒険活劇などではなく、一度しかない人生をいかに正しく一生懸命に生きるかがメッセージとして込められていた。

失った息子を取り戻すため、一心不乱に作り上げた操り人形。不意に奇跡が起こってピノッキオが誕生するも、ゼペットは亡き息子の代わりにはならないとピノッキオを突き放していく。対するピノッキオは、ゼペットのことを本当に父親だと思い愛情を注ぐが空回り。心が通う瞬間はありつつも、お互いのネックとなっている部分が摩擦を引き起こし、とうとう離れ離れとなってしまう。

しかし、二人を隔てていた理解の壁は、お互いの旅を通して崩れ去っていく。

死や痛みを知らずにわがままばかりのピノッキオは、死を繰り返しながら本当に大切な人と一緒にいるためには”どれだけ真剣に人生と向き合うか”が大切なのだと学んでいく。ゼペットは、二度も息子を失わないために、ありのままのピノッキオを受け入れ素直に愛することを誓い、命を賭してピノッキオを探し続けるのだ。

最終的には、ピノッキオとゼペットの”生き方という課題”が達成され、ようやく二人の間にあった摩擦が消えていく。

今作の見どころは「目の前にある幸せを素直に受け入れる」こと。僕らは生きることが当たり前となっているが、そもそも生きていることは奇跡に近い。いつ何時、事故などで命を落としてしまうかわかったものではない。「明日死ぬかのように生きろ 永遠に生きるかのように学べ」という有名な格言があるが、まさに「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」は、この格言を地で行く作品だったように思う。最終的にはエゴを捨て去ってピノッキオの命を救う道を選ぶコオロギの姿もおすすめのポイントだ。

今一度、人生とは何なのかを確認するのであれば、あなたもこの映画を観てみてもいいのかもしれない。


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