僕はちょいちょい、ライブパフォーマンスをしているアーティストをインターネットでも観れるようお手伝いする”配信スタッフ”というお仕事をしている。現場に入ってカメラやスイッチャーのセッティングをし、あとは本番が始まったのち、自分のセンスをフル活用してカメラを動かすのが業務。
始めてから約１年ほど経っただろうか。腕はわからないが、最初に比べたらいろいろとできるようになってきたようだ。
しかし話は配信スタッフのうんちくでもなければ苦労話でもない。つい先日起こしてしまったミスと、昨日起こったミスのことである。
とある日に配信スタッフに入る予定がスケジュールにしっかり記入されていたため、その通りに会場に入った。もちろん、僕のiPhoneのスケジュールアプリなので、僕自身が記入した予定であることに間違いはない。
何食わぬ顔でいつも通り挨拶をしてセッティングをした僕は、空き時間に電子書籍で読書をするのが日課。橘令さんの著書「スピリチュアルズ 「わたし」の謎 」を読んでいたとき、何やら不穏な空気が僕の背後で感じ取れた。すると、アーティストをしながらライブハウスの手伝いもしている男性が立っており、何かあったのかと僕はその理由を聞いてみた。すると、どうやらその日の配信担当は彼だったようで、僕が間違って入り込んでしまったらしかった。
後から聞いたが、ライブハウスのマネージャーとブッキングとの間で「今日って〇〇が配信やんね？」「はい、そのはずですけど・・・」「MAGUMAくんがおるんやけど・・・」みたいな電話が裏でされていたらしい。控えめに言って、僕は大変恥ずかしい状態だったようだ。
僕は内心「ラッキー！ よし帰ろう」などと愚心を抱いてしまったのだが、彼から「僕もやることが結構あったので、助かりました」と屈託のない素直な瞳で言われてしまったため帰るに帰れなくなり、結局いつものように配信をすることになった。無理やり仕事を奪ったような気持ちになり居た堪れなかったが、彼の助けになったのならそれでいい。だが、問題なのは自分の脳みその方だった。
僕は、何度も配信の依頼をしてくれた方とのやりとりを再確認し、先月や来月のスケジュールも確認した。だが、どこをどうみても”絶対に勘違いするような日時ややりとり”が存在しない。僕はなぜ、この日に配信を担当するとわざわざスケジュールに書き込んでいたのだろうか？ 自分が怖くなったが、その答えは昨日、訪れた。
昨日、久しぶりにオフだと思っていた僕はゆっくり起床。ブランチのお供に、お気に入りの海外ドラマ「ルシファー」を観てから、年内撮影予定のショートフィルムの脚本を執筆・添削をしようと思っていた。
そこに一本の電話がかかってくる。相手はいつも配信の仕事を依頼してくれる人だった。電話に出た途端、第一声に「今日って配信やんね？」と言われた僕は、海外ドラマを一時停止するとともに自分の心も一時停止した。反して脈拍は加速してゆき、正気を取り戻した僕は慌ててスケジュールを確認する。だが、やはり今日は何も入ってない。何かの間違いではないか？ いや、間違いであってほしい。僕はすかさずLINEでのやり取りを確認する。すると、残念ながらそこには確かに、今日の配信担当ついての記録が残されていた。しかも「はい、可能です」などと偉そうに返事までしている。
僕は大急ぎで身支度を済ませ、汗だくの状態でなんとか会場入りして配信。無事にことなきを得たというわけだ。
おそらく、先日間違って入ってしまった日は、僕の頭の中で今日のスケジュールと入れ替えて入力していたことで発生した間違いだった。真夏の最中、冷や汗なのか暑いからなのかわからない汗が全身を覆い、心底動揺した一日となった。しかし、とにかく間に合ってよかったと、安堵とともに記事の執筆を行なっている。
だが、今回のようなミスはあってはならないことだ。もちろん、反省し、今後はより一層自身の管理を徹底しようと思った次第だ。
僕は人間の心理や世界の本質を探究するのが趣味だ。精神世界を調べていくと、どこか自分が人間ではないような感覚になってくるのだが、いざ今回のような間違いが起こると、”ああ、やっぱり僕も普通の人間なんだな”と、どこか寂しく残念な気持ちになってくる。だが、これも人間なのだろう。と自分の中に落とし込み、明日に向けて精進しようと心に誓った一日だった。
皆さんも、報・連・相と確認行動は慎重に。
それではまた。
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