広告 筆者の思想

人類にかけられた「知識という名の呪い」

人間は、知識という名の呪いにかかってしまっている。何故なら、知識が人の脳を休ませることは永遠に訪れないからだ。

無から有を生み出すことに長けている人類。与えられた知恵は戦うために必要な武器。守るために必要な盾を作り出し、この星の支配者として君臨させるに至った(実際は支配者と思いこまされているだけかもしれないが)。

僕から言わせれば、その授かった叡智は諸刃の剣だ。いくら嫌なことに直面してそこから逃げ出せたとしても、先に待っているのは「逃げた後の生き方」だ。つまり、人間は考えられずに生き続けることはできない。

「doing nothing often leads to the very best something.(僕は、『何もしない』をいつもやってるよ。)」

プーさんの哲学は偉大だ。本質をついたメッセージこそ、誰にでもわかる言葉で語りかけてくる。表面上の情報だけで納得している人間がほとんどだが、「誰にでもわかる」ものは受信者の思考によって意味が変わってくるのだろう。

世界は「何もしない」ができない人口で大半を占めている。休日を遊びに費やすことは、結局のところ体を働かせ続けているようなものだ。もちろん、脳みそもフル稼働している。インターネット記事を見ることもあるだろうし、Youtubeなどの動画には文字とは比べものにならないほどの膨大な情報量が詰まっている。他にも街中のオブジェ。すれ違う人々。友人との会話など、少し目にして触れただけも人間の脳は無数の思考を巡らせているのだ。リラックスの定義も個人差はあるが、真に体の仕組みを理解した上で答えるのなら「何もしない」ことこそが、最高のクスリとなるのだろう。しかし、それは不可能だろう。

「何もしない」をしようと決めている時点で、それは「何もしない」ことにはならないからだ。

人間は1日に6万回もの選択・決断をしている。起きたらまずトイレに行くのか。それとも水を飲むのか。このレベルでも十分に決断になるそうだ。決断力にも体力がある。決断すればするほど、体力は次第に低下していくだろう。持続させるには選択・決断をしないためのマニュアル作りが重要となる。習慣化し、考えずとも動ける仕組みを作るということだ。判断力が鈍っている人は、精神的な体力が消耗しているのが要因だ。

かの有名なスティーブ・ジョブズが同じ服を愛用し続けていたのも、朝から無駄に決断力を使わないようにするためだったと言われている。彼がイノベーションを起こし続けていたのも、土壇場で最高の決断ができるよう意図的に構築された習慣によるものかもしれない。

人間は神に手が届かないよう作り込まれている。まったくの無になることは無理だろう。ならば、人間でもできる「最大限の仕組み化」を考えることが打開策だ。それこそが僕らに与えられた「知識という名の呪い」の活用方法だろう。

実は人の脳と同じく胃袋にも空っぽの時間が必要だ。何故なら「一日三食」は寝ている間も休みなく胃袋を稼働させ続けるブラック企業そのものだからだ。胃の忙しさは肝臓の忙しさと比例する。改善策は「16時間の空腹」だ。16時間の空腹状態があれば、胃も肝臓もしっかりと休息を取れて免疫力UPや老化や不調の進行を防げるのだ。

医師の青木厚さんが提唱する上述の内容は、世界で注目を集めているオートファジー機能を発動させるために必要な健康法だ。オートファジーとは、細胞内の古いタンパク質が新しく生まれ変わる仕組みだそう。抜群の効果を発揮するためには空腹時間が肝心要となる。つまり、胃と肝臓のコンディションを整えておかなくてはならない。くたびれた状態では、本当に必要な栄養素の補給ができなくなる。鮮度のある補給がなければ、体内にある古く壊れたタンパク質でも無作為にかき集めて新しいものを生成してしまうため、体調不良を引き起こすという。16時間の空腹は、胃袋流の「何もしない」をするなのだ。

個人の習慣は、社会の仕組みを顕著に体現しているとも言える。結局のところ、余分なものを入れず必要最低限のものだけで循環させていくことは、社会でも体ひとつでも共通している課題なのだ。そのために、僕らは意識して「何もしない」を実行しなければならない。

知識は呪いであり、幸福の魔法。

鉄人28号のように、リモコンの持ち主によって悪にも正義にもなり得てしまう。もちろん、持ち主は僕やあなただ。他人を変えることは困難だが、自分を変えることならできる。自分さえ変化してしまえば、必ず巡り巡って大勢を導くことになるのだ。地球をクリアな状況に持っていくには、世界規模で「何もしない」をやらなくてはならないだろう。人は今も尚、テクノロジーの力を持ってそれを成そうとしているが、本質は僕らが原始の生活に回帰することだ。

今、知識は最先端のテクノロジーによって拡張され、新たな知識の所有者「AI」を生み出している。高大な地球と言えども資源には限りが出てくるため、人工的なエコは何の解決策にもならない。持て余して完全に呪われてしまう前に、ここにあるものだけで生きることを思い出すべきだろう。「快適」を手に入れるために、いったいどれほどの犠牲を払ったのか? 終わりなき欲求が、自らを破滅に招いていることをわかっているのだろうか? 魔法には対価があり、特別な力には必ず代償を要求される。僕にはその負債を支払う覚悟が人類にあるとは到底思えないのだ。

オカルトや歴史に登場する超古代文明は必ず滅びている。嘘か真か……重要なのはそこではない。僕らが学ぶべきは、彼らが知識に殺されてしまったというところだ。

太陽のように明るくポジティブに進むことは「太陽になる」こととは違う。あくまでも絶対的な存在のように振る舞おうという意味だ。神になるのではなく「神のように関与せず、ただ穏やかに役割をまっとうすること」。ひまわりになるのではなく「ひまわりのように高く高く伸び続けよう」。知識は本質を読み解く力に使うものだと僕は捉えている。

この世に自由意志など最早存在しないのかもしれない。TVの広告や商品の陳列に至るまで、人間の心理を弄ぶ戦略が四方八方で展開されているからだ。僕らが目の前の商品を手にするのもTwitterをスワイプして更新を待ち続けているのも、すべて誰かの知識によって編み出された洗脳方法だ。

知識に勝てるのは知識のみ。生き残るためにも、僕らは対抗するために知識力の習得に励まなければならない。と、躍起になってしまっている僕も、既に知識に呪われているのかもしれない。

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