人生の分岐点について

人生の分岐点が見えるようになってきた。ああ、たぶん僕は、このままこの道を進めばまた別の人生が待っているんだろうなぁ…といった具合の未来予測である。ある意味、それは着手している分野において何かしらの可能性を感じているからこそであり、アーティストとしての僕が存在していなければ、おそらく今分岐点として見えている別の道の自分へと繋がっていくのだろう。

これまではどこが我武者羅に動いていたこともあって、そういった選択の余地を自分に与えることを欠いていた。今よりも若き日に、今のような思考を持ち合わせていたならば、どれだけの未来が変化していたことだろう。存在しなかった過去に思いを馳せるわけではないが、出会うはずだった人たちとも出会わなかった未来を選択したと考えると、どこか不思議な感覚に包まれる。僕の知らない。もう一つの僕の未来があるというのだから。

だからといって、僕は今の人生に不満を抱いているわけではない。むしろ、今が一番幸せだとも思っている。有形無形に拘らず、周囲に対する感謝の気持ちも今まで以上に高まっているし、チャレンジ精神も旺盛になってきた。目指している理想と直結する事柄であれば、できる限り取り組んでみて、今よりも先へ先へと進むことに情熱を注ぎ、ワクワクする毎日を過ごさせてもらっている。

分岐点が見えるようになってきたということは、ある程度の余裕が心の中で生まれてきたからだと思っている。その余裕は油断とは違ったもので、物事を冷静に判断し、行くべきか行かざるべきかを選択する力を発揮できるようになってきたという意味だ。

確実に失敗する道なんて、誰だって選びたがらない。しかし、僕ら人間は時にエゴイスティックな一面に意識を乗っ取られてしまい、失敗するとわかっていても、欲望やプライドのためだけに愚かな旅路を突き進んでしまう。失敗を次の糧とできる人間もいるが、悲しきかな、そのまま再起不能なまでに崩れ落ちてしまう人間もいる。

どう考えても成功する道は、意外と誰にでも認知できるように用意されているもの。挨拶ひとつにしてもそうだ。元気よく挨拶をすれば、相手だって悪い気はしないし、幸せになる人だっている。これはいわゆる、成功への道のひとつだ。反対に、挨拶を不機嫌にしてしまえば、負のオーラが伝染して自身のイメージダウンを起こすだろう。これも至って当然のことだし、分かりきっていること。だが、あえて後者を選択してしまう人間も少なからず存在するのは、あなたもすでにお分かりだろう。

以上のような例を持って考えると、僕らの目の前にはとても多くの成功への道が続いている。失敗の道も、同じくらい存在するだろう。あとはその道を見ようとするか。それとも意地を張って見ないふりをするか。それだけなのだ。

僕らには選ぶ権利がある。分岐点が見え始めたのなら、今一度、自分がどっちの道へ進みたいのかを慎重の判断しよう。道は多くとも、人生はたったの一度しかないのだから。

それでは、また。