”真面目な人ほど損をする”という言葉がある。やらなくても良い仕事を引き受けたり、正義感や規則に正しいことで、周囲からノリが悪くつまらないと思われたり、時に騙されることもあるからだ。
人間社会は、真面目で純粋な人間が暮らせないようにできている。所謂、競争社会という仕組みで成り立ち、狡猾さがなければ上へ登れないよう仕組み化されているのだ。僕が生業とする芸能関係など特にその傾向が強い。
真面目ではいけないのだろうか?真の調和や普通は、俗に言う”つまらないもの”だと僕は思っている。皆、いっときの欲に流され刺激を求めて彷徨っているが、結局は、最終的に帰ってくるのは”つまらない普通の場所”だ。普遍的な幸福をすでに手にしているにも関わらず、やはり僕らは競争社会で勝ち上がり権威を手にすることに憧れを抱いてしまう。どうにも、悲しい性である。
だが、生き方は自分自身で決めるものだ。
僕は、真面目だから、つまらないから、普通だからといって、夢を諦めることは間違っていると思うし、そんな人間こそ、その手で夢を掴み取ってほしいといつも思っている。それもこれも、純粋な人がいかに美しい心を持っているのかを知っているからだ。いつも素直で、他人に都合よく使われてしまうが、”他者と真摯に向き合う”という人情がある。大抵の人間は薄情でどうしようもない。だからこそ、真面目で純粋な人間には希少価値があるのだ。
損をする真面目な人間たちは、損をしてしまうがゆえに”頭が悪い”というレッテルを貼られてしまう。本当に頭が悪いのは、そんな間違ったレッテルを貼っている当人であるにも関わらず、世間は真面目な人ほど損をするという不名誉極まりない吹聴を懲りもせず続けている。
僕は、こんな世界だからこそ、真面目で純粋な人たちに、騙されても良いから君のままでいてほしいと切に願う。
真面目な人は、世間に馴染もうとするあまり、変わろう変わろうともがき続ける。自分さえ変化すれば、みんなに求められるような存在になれると、承認欲求を頼りに努力していく。だが、結果的に”自分ではない自分”を演じ続けることによって、精神は疲弊し、やがては体でさえボロボロになっていくのだ。ありのままでよかったと気がついた時には多くの自信と信頼を失っており、犠牲にして捨て去ってしまった貴重な時間に、やるせない状態で思いを馳せてしまうのである。
そうなってしまう前に、あなたや僕は、自分という相棒と問答を続けなければならない。ありのままとは何か。自分らしさとは何か。納得のいく答えが表れるまで、問い続けなければならない。
例えつまらないと言われようと、頭が悪いと言われようと、既に純粋で真面目という価値を所有しているあなたが変わる必要なんてないのだ。世界のための自分ではなく、自分のための世界を構成し、どうか幸せになる勇気を持って生き続けてほしい。純粋とまではいかないかもしれないが、よく真面目だと言われる僕も、マイペースに生きていくよう努めることとする。
騙されてもいいから、君のままでいてくれ。
それでは、また。
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