本日をもって、約１年半ほど続けてきた配信スタッフの任を降りた。
歌手活動の再開と作家業の確立に伴い、本格的にアーティスト方面にパラメーターを全振りしていくためだ。一度表舞台から姿を消して裏に回り、ステージに立つ人たちを観る立場になって、裏から観ることで気付きや学びをたくさん得られたと思っている。まだどこの馬とも知れないいちアーティストが表舞台と大層なことを言っても説得力のかけらもないが、大層に言ってしまうのは、２０年以上続けてきた歌手としての活動を一旦白紙にするというのは、僕個人としてはかなり勇気のいる決断だったからだ。
インディーズ界のLIVEを配信側から観ていると、酸いも甘いも音楽という分野を仕事にするための過酷な現状を痛感していく。プロのイベントで配信をする機会もあったため、プロは何故にプロであるか、インディーズは何故にインディーズであるかが、ほんの数ミリ単位かもしれないが妙に納得できる差を感じ取れた。たとえば、MCでの言葉のチョイスであったり、ステージの構成であったりと様々なのだが、数ミリ単位とは言えども、その変化は音楽に対する素人…いわゆるお客様でも肌身で理解できるようなものだった。
音楽やステージの構成にも型があるため、基本の型を体得できていないのに型を破ろうとすると構成に破綻が生じる。型は基盤ともなるため非常に重要な要素だ。基礎工事ができていない一戸建てに住むようなもので、ちょっとした地震が訪れればたちまちその家は崩れ落ちてしまう。僕が思う基盤については別記事で執筆しているので、そちらご一読いただけると幸いだ。
打てる手は打っているけれども、どこかで頭打ちになってしまっているアーティストもいれば、そもそも打てる手を打てていない…というよりも打ち方を知らないアーティストが非常に多い印象だった。なにも自分を棚に上げて言っているわけではなく、あくまでも観る立場になっての意見である。歌手を生業とするためには、足りないものが何なのかを把握、分析することは大切なことなのだと、いちアーティストとして教訓を得られた次第である。
夢を成就させるには継続と努力は不可欠だ。だが結局は、運という目に見えない普遍的な事実に僕らは左右される。だからと言って努力しなくてもいいというわけではなく、僕らは虎視眈々と、その運に見つけてもらえるよう…または見つけられるように日々励んでいくしかない。そのために必要なことは、何よりも”自分が売れる場所を探すこと”である。
ターゲット層を絞って仕掛けて行くことは、ビジネスにおいては鉄則だ。マクドナルドの創業者は、”マクドナルドは不動産業だ”と話したそうが、その理由は、どこに店を開けば人が集まるのかを優先的に分析し、確実に売れる場所だと確信を得た上で開店しているからだ。まさしく、物件の売買をする不動産と同じだ。いい家を建てれば売れるのではなく、どこにその家があるのかが重要だというわけだ。僕らアーティストも、ただ職人のように技術を磨いていくだけでは成功しない。磨いた技術をどこで魅せていくのか、その居場所探しこそが、もっとも考え抜かなければならない仕事の一つなのだ。
以上のような理屈をこねても、セルフプロデュースでここまで成し遂げるのは至難の業だろう。人には得手不得手があり、全員がマルチに施策を考案して打ち出せる人間ばかりではない。僕も、恥ずかしながらできることは歌うことと物語を創ることだけだ。より高く発展を望むのであれば、専門的な知識を持つ仲間…各マスターマインドの持ち主たちとチームを組むのが頭の良い選択だろう。
配信スタッフを終えて、僕も約１年半ほど休止していた歌手活動を再開していくわけだが、言うは易し行うは難し。わかってはいてもなかなかうまくは行かないものだ。歌手としての最後の挑戦だと思って、今後は一緒に上っていく仲間を集めて夢を現実にするため、現在もできる限りの発信活動を続けて、復帰に向けた準備を重ねている。どうか、僕と一緒に冒険の旅へ出てくれる方はいないだろうか？あなたのご連絡をお待ちしている（生で会うとちゃんと敬語で話します）。
観るという立場は、配信スタッフを終えても継続すべき学びだと思っている。できる限り芸術に触れていき、自身の感性や見識を広げていけたらと思っている。貴重な経験を与えてくれた、アーティスト、LINEハウススタッフを含めた配信現場の皆さまには深く感謝申し上げたい。本当にありがとうございました。
費やした時間を自分のものにするため、今からの自分の生き方に反映していくこととする。
それでは、また。
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