映画「硫黄島からの手紙」を鑑賞しました。
※僕のレビューは、作品から読み解いた個人的思想・メッセージを公開していきます。
1944年、太平洋戦争中の「硫黄島」を舞台とした戦争映画です。
こういった作品がないと、硫黄島がどんな場所なのか、何が起こったのかは、
知る機会はなかなか訪れないと思います。
当時、兵士たちが家族たちに向けて綴った手紙。
届くことのなかったその手紙の内容から、あの日の熾烈な戦いが甦る。
陸軍一等兵・応召兵の「西郷昇」という男性と、
実在した陸軍中将「栗原忠道」二人の視点で物語は描かれます。
水際作戦、そして兵士たちへの不用意な体罰を禁じてゆく栗原。
妻と子供を残し、一人、戦場へと招集された西郷。
二人に共通する家族への想い。
「逃げる」「反発する」「降参する」
上記ひとつでも片足を突っ込めば、今の時代からは考えられないほど、
非国民として蔑まれ、殺されてゆく世界。
そんな死と隣り合わせの時代で、栗原や西郷は、命の尊さを肌身で感じ、
その都度、愛する家族へ綴った手紙が、本人たちの声によって再生されます。
手紙の内容は「厳しさ」「辛さ」はもちろんですが、
何よりも、圧倒的な「寂しさ」が伝わってくるものばかり。
日本帝国という旗のもと、決して敵に屈しないという大和魂。
しかしその裏に、「希望」というふた文字を忘れてしまった、死に対する諦めのような退廃感。
どこか矛盾していて、混沌としていて、それをわかっているにも関わらず、
戦って死ぬことだけが大義だと豪語する。
そのプライドが、いつしか戦争を終わらせることではなく、
国のために命を落とすことに目標がすり替わっていく不条理な流儀。
何と戦っているのかわからない上に、
少しでも反抗すれば、非国民として同国民に殺害される。
あの場所にいた孤独な兵士たちの虚しさが、
色褪せた映像とたった一曲の音楽で、作品を観ている我々に訴えてきます。
今でこそ、僕たちは戦争というものを知らずに過ごせていますが、
きっとそれは、世界の大きさ、人の多様さをようやく認めることができた、
または、慣れてきたからだと個人的に感じます。
どんな人間も、初めての道具や仕事は、慣れるまで苦労するもの。
ああでもない、こうでもないと失敗を繰り返して、ようやく流れを形成していく。
その内容が個人規模なのか、世界規模なのか、それだけの違いで、
きっと、過去に生きた人たちは、世界という大きな形を扱いきれず、
ずっと混乱している状態だったと思う。あくまでも僕の考えですが…。
ただ、戦争に巻き込まれていった人間たち、
本当の意味で、戦っている相手のことを知っている兵士は、どのくらいいたのでしょう。
「西竹一」中佐が、敵軍の兵士「サム」を手当てする場面が印象深い。
西は英語を話し、サムと普通の会話をするのです。
結局、サムは傷が深すぎたあまり亡くなってしまうのですが、
そこに、彼の母親から宛てられた手紙を見つけます。
内容は、ただ、澄み切った家族への愛が記されていただけ。
そう、こちらと何も変わらなかったのです。
人種など関係ない、相手も普通の人間であることを知った時、
「自分たちは、なんでこんなことをやっているんだ?」
「しかし今更、引き返すことなどできない」
といった、泥沼の中に引きずり込まれてゆく。
それぞれの悟りが、
それぞれの行動に表れていく様が、
どうにも人間臭く、また、やるせない気持ちにさせられます。
栗原が在米日本大使館駐在武官だったとき、
米国軍高官との会話する場面があるのですが、
その時のやりとりは、今の時代の僕らにも通じる大事なメッセージが込められています。
栗林「(英語)日本はアメリカと絶対に戦うべきではない。だがそうなったら、国のために務めを果たす」
アメリカ軍将校の妻「夫が敵側なら撃つということ?」
栗林「信念に従います」
アメリカ軍将校「君の信念かね? それとも君の国の信念?」
栗林「同じでは?」
アメリカ軍将校「真の軍人の言葉だ」
誰のために人生を生きるのか?
今という幸福を噛み締めながら、もう一度考えてみたいと思いました。
東京都小笠原諸島にある硫黄島ですが、
現在は基地となっており、いまだ帰島が許されていない状態だそうです。
当時は盛んだったそうですが、もうその光景は見られないと思うと残念です。
クリント・イーストウッド監督のこの作品、
実は姉妹映画として「父親たちの星条旗」という
アメリカ視点の作品もあるそうです。
双方のメッセージを感じて、人としての在り方を考え直してみようと思います。
歴史ものは、今と未来を見据えるためにもオススメですので、
是非とも鑑賞してみてください。
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