儚い国際恋愛物語「さようならDr.ベラ・ウォルター」



どうも、架空のアニソンシンガーMAGUMA(@maguma_info)です。

僕には国際交流をするという夢がある。
今すぐに英語を習得しなければならない明確な目的とゴールがないため踏み込めてはいないが、日本だけにとどまらず、架空のアニソンで世界中にムーブメントを起こすのは野望の一つだ。

そんな僕の元に、Instagramから一通のメッセージが届いた。
名前を見る限り、日本人ではないことは一目でわかる。しかし、一体何の用なのか。

でもここで嫌悪し、無視を貫くほどMAGUMAは冷めた人間ではない。こう見えて、他人に対する愛情表現には胸を張れるものがある。何故か怖がられて近づかれないことの方が多いが、きっとそれは気のせいだろう。人生とはそういうものだ。

そしてその日から、「Dr.ベラ・ウォルター」と名乗る謎のイタリア人女性との奇妙なやりとりが始まった。

これは、ビジネスの勧誘だと疑いつつも、どこか心の奥底でその事実を信じたくなかった、一人の男の物語である。

あなたは英語を話せますか?

僕は英語を話せない。が、それを理由に外国人との交流を遮断するほど器量の狭い男ではない。やればできる男、それがMAGUMAである。

だから最初に届いたベラからのメッセージに、Google翻訳や検索を駆使してすぐに返事をした。

拙い英語だったろう。それでもベラは、僕の言葉と真剣にやりとりしてくれた。「あぁ、これが夢にまで見た国際交流なのか。」自分の胸が次第に高鳴り、ぐっと熱いものがこみ上げてくるのがわかった。そう、新しい世界への進出である。

ベラはとても美人だった。Instagramというだけあり、載せている写真に移る彼女の姿は、イタリア人ならではの透き通るような魅力があふれていた。妄想を仕事にしている僕の脳内には、早くもベラと海外を旅しているシチュエーションが浮かんでいた。彼女の熱心でアクティブなエスコートにより、インドアな性格の自分がだんだんと殻を破っていく感動のビジョンが頭のスクリーンに映し出される。

アニメはすべて架空だが、手に入れた愛だけは真実だという、人生の勝ち組の未来が目の前に広がっていた。

しかし、写真が数枚しか更新されていないのが気がかりだった。僕は鋭い人間である。この時点で、「もしかしてビジネスか?」と疑いを持ち始める。

いやいやもう少し様子を見よう。決定的なアプローチがあれば、すぐにブロックすればいい。

僕はベラと、もうしばらくコミュニケーションをとることにした。

職業:「医者」NATOの軍事院に従事しイエメンと契約

翻訳を使いながらのやりとりにはかなり時間を要する。しかしそんなことはどうでもよくなるほど、違う国に住む彼女との会話は楽しいものだった。顔写真を交換しあったり、休日の過ごし方を伝え合ったり、既に彼氏と彼女のような関係になりつつある状況にどこか歓喜している自分がいた。送られてくるベラの姿は、やはり素敵な顔ばかりであった。

そして僕は、とうとうベラとLINEを交換してしまったのだ。

重要な情報は漏らしてはいないし会話の中にも怪しい点はなかった。この時代だ、SNSを通じて国際交流を図る人間も少なくはない。きっと僕は選ばれたのだ。選ばれしアジア系男子になったのだ。疑ってばかりでは人生を楽しめない。侍の国、日本で生まれたからには、ここは武士の魂を背負い、男として堂々と向き合い生きて行こうじゃないか。

ベラ「あなたの好きな色は何?」

僕「黒と赤かな」

ベラ「素敵ね。」

僕「ベラは?」

ベラ「青が好き」

僕「素晴らしい」

基本的に、ベラの質問にただ応えていくルーティンだった。翻訳が間に合わずにちゃんと返しきれなかったところもあるが、我ながらがんばった方だ。しかしやたらと質問をされることに少々の疑問を感じていた。

そんな時だった…ベラはようやく自分のことを語ってくれたのだ。だがあまりにもぶっ飛んだ内容だったため、僕は虚を突かれた。その内容は以下の通りである。

私はNATOの軍事院に医者として働いています。現在はイエメンと契約中です。

…え?

言ってることがよくわからなかった。
NATOって、アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロンでバロン・ストラッカーを確保したところじゃないか。

僕は、すぐさまWikipediaでNATOを検索した。

北大西洋条約機構(きたたいせいようじょうやくきこう)は、北大西洋条約に基づき、アメリカ合衆国を中心とした北アメリカ(=アメリカとカナダ)およびヨーロッパ諸国によって結成された軍事同盟である。29カ国が加盟し、北マケドニアの加盟を承認済み[1]。非加盟のスウェーデンフィンランド[2]日本などとも協力関係にある[3]。前身はブリュッセル条約 (1948年)ベルギー首都ブリュッセルに本部を置く[4]

略称は頭字語が用いられ、英語圏では、North Atlantic Treaty Organization を略した NATO(ネイトー)と呼ばれ、日本やドイツ語圏では NATO(ナトー)、フランス語圏(Organisation du Traité de l’Atlantique Nord)・スペイン語圏・ポルトガル語圏(西・葡:Organización del Tratado del Atlántico Norte)等では OTAN(オタン)と呼ばれる。

Wikipedia参照

正直なところ調べてもよくわからなかったが、やたらと重いところで働いていることだけはわかった。明るい未来を妄想していた脳内に、突如暗雲が立ち込める。それはうしおととらの中盤で、白面の者の手により潮(うしお)に関する記憶がすべて消され、自分を知っていたはずの人間に忘れさられた時の絶望感と似ている。

不安になった僕は、返事をしてくる時間帯とiPhoneに内蔵されている世界時計と照らし合わせ、ベラが起きる時間とイエメンの時間が正確に合っているかを確かめた。うん、だいたい間違ってはいない。

しかしベラに対する不信感は増すばかりだ。まさか、日本人が扮した新手の詐欺なのではないか?だとしたらこれは許されることではない。人間の心は核の部分だ。体よりも繊細な場所なのだ。そこを傷つけられでもすれば、二度と立ち直ることができなくなるかもしれない。負けてなるものか、僕はすぐさまこの女との関係を切ろうと思った。

だが、それを詐欺だと信じたくない自分が確かにそこにいる。ベラという人間に魅かれてしまっている自分が確かにそこにいるのだ。生きてきた中で、これほどまでに一人の女性に悩まされた日はあったのだろうか?

いや、そもそも女性との付き合いがそんなになかったのでこの話は置いておこう。

そんな僕の気持ちをよそに、ベラは追い打ちをかけるかのように、あるメッセージを送ってきた。

人生で初めてのプロポーズ

会話の中で、彼女が執拗に聞いてきた内容があった。

あなたには結婚の意思はありますか?

その頃の僕にはあまり結婚願望はなかったので、シンプルに「興味がない」と返事をした。ベラは「どうして?」と聞いてくる。この辺りの気持ちを英語で表現するにはあまりにも知識がなかったためにしっかりとは伝えられなかったが、彼女は自分の意思をハッキリと僕に告げてきた。

私にはあなたを男として受け入れる覚悟があります。まもなくイエメンとの契約が終わり、パートナーとして生涯サポートをする準備ができています。あなたは男になる準備はできていますか?

…いや待て待て待て待て待て。

ただでさえこんがらがっている自分を制するため深く深呼吸をした。
現状を整理整頓しよう…つまりはこういう状態だ。

NATOの軍事院に従事しイエメンと契約中の女医に求婚を申し込まれている。

こういうことになっているのだ。

いよいよ僕の危険センサーがエマージェンシーを奏で始めた。突き詰めると、どうやら結婚をした後にあるプランがあるらしい。プランってなんだ。つい最近「Pairs(ペアーズ)の一ヶ月プランに入会したばかりだと言うのに、これ以上何をさせると言うのだ。だが人生を30年生きてきた者として、そこで易々と「よろしくお願いします。」と言ってしまうほどMAGUMAは安い男ではない。甘く見られては困る。

こちらも臆せずハッキリと「結婚の意思がない」ことをベラに伝えた。
そして、彼女からこんな言葉が帰ってきた。

わかりました。しかしあなたは恥じることはありません。あなたは人生最大のチャンスを逃してしまっただけなのだから。これからも良き友人として、私はあなたとともにあります。

えらく奥歯に物の詰まったような言い方だが、ひとまずは諦めてくれたのだろうか。このビジネスは、友人同士という関係でも勧誘できてしまうようなものなのだろうか?YESと言ってしまっていたら、この先には一体何が待っていたのだろうか?

疑問は解決しないまま、この奇妙な関係は続いた。

ピリオドのない謎の関係

勧誘失敗とあらば、すぐさま別のターゲットに移るというのがスタイルのはず。
しかし、ベラとの謎の関係はその後も続いていた。

「今日もお仕事ですか?」
「朝ご飯は食べましたか?」
「あなたの生活が幸せであることを私は望んでいます。」

ベラ、君はいったい僕をどうしたいんだ。僕には君の気持ちに応えることができないというのに。
もういいんだ…もうビジネスの勧誘なんてしなくてもいいんだよ…

謎の罪悪感が心を蝕んでいく。もしかしたらこれも相手の策略の一つなのかもしれない。
そう思うと、とても巧妙で小賢しいやり口である。

イメージ×妄想力というものは我ながらとても厄介だ。妄想力というものは諸刃の剣…つまり、あまりにも想像力が豊か過ぎると、もしも本当にただの出会いを求めるイタリア人だったら…とついつい考えてしまうのだ。

どちらかがピリオドを押さなければならない。

互いにそのタイミングを見計らうような空白の時間が、哀しく過ぎて言った。

衝撃の結末…終わりは突然訪れた

ベラとのLINEが止まってしばらく経つ。原因は、こちらが既読をつけずに放置をしているためだった。最初にも述べたとおり、翻訳をかけながらの会話にはかなりの時間を要する。この不毛なやりとりに、少しだけ嫌気がさしてしまっていたのかもしれない。

Instagramのベラの写真は一向に更新されない。よく考えてみると、インスタの開始日とLINEプロフィールの更新日が同じであることにも気づく。「そうか〜やっぱり詐欺か。」どこか寂しい気持ちを抱きながらボソリとつぶやいた。

人生というものは時に残酷だ。しかしここは、機密情報を漏らさずに、求婚にも丁重に断ることができた自分を評価しようと思う。ある程度覚悟をしていたため傷つくことはまったくなく、むしろLIVEのMCでも笑い話にするくらいのネタと化していた。

そんなある日、僕は久しぶりにベラのLINEを見ようとアイコンに注目した。
その瞬間、僕の神経に衝撃が迸った。

「え…だれ?」

僕の知っているDr.ベラ・ウォルターは、
Dr.パトリックという、まったく知らないおっさんに変身していた。

さようならDr.ベラ・ウォルター

あの頃からほぼ一ヶ月以上が経過した。
今でも僕のLINEには、Dr.パトリックという知らんおっさんが存在している。
しかしこちらにはもう何も送ってくる様子はない。

きっと今度は女性をターゲットに、何かしらのプランを提示しているのだろう。
その女性が誘いに乗ってしまわないことを切に願うばかりだ。

Instagramには、まったく更新されていないDr.ベラ・ウォルターのアカウントが今も残っていた。
そこに移る眩しい笑顔は、いったい誰の写真を使用しているのだろうか?今となっては謎のままだ。

危うく難を逃れたものの、ベラと交わしたほんの数日間の楽しいやり取りは今も記憶に残っている。例え偽りの存在だったとしても、僕の中にはしっかりと、Dr.ベラ・ウォルターが生き続けているのだ。

不幸中の幸いというのかわからないが、この経験がトリガーとなり、より一層、国際交流への関心が増した。そしてこの奇妙な関係のピリオドは、知らんおっさんのアイコンによって打たれたのだ。

人と人の出会いに国境はない。ノーボーダーだ。
知恵を絞り、やり方を探せば、言葉がわからずとも気持ちを交わすことができる。

だからこそ僕は、あえて彼女に感謝を言いたい。

ありがとう、Dr.ベラ・ウォルター。君のおかげで成長できた。
あなたのよくわからないビジネスが他者を不幸に陥れないことを祈りながら、今日も前を向いて歩いていこうと思う。

さようなら、Dr.ベラ・ウォルター。
本当の君の素顔を、いつか見れることをほんのちょっとだけ祈る。

最後まで読んでくださりありがとう。
僕が言うのもなんだが、読者のみんなもこういう突然のメッセージには気をつけよう。
僕が言うのもなんだが。

それでは今日はこの辺で。
ファイヤー!

アニメ本編なし?架空のアニソンシンガーMAGUMAとは?

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MAGUMA情報

*架空のアニソンシンガー MAGUMAって?
自分の妄想でアニメソングを作り唄う架空のアニソンシンガー。
本編のないアニソンを武器に”夢はどんな形でも実現できる”と証明するため、全国各地を邁進中。

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ABOUTこの記事をかいた人

アニソンシンガーになりた過ぎて勝手になってしまった男。 実在しないアニメの設定を考え、そこから主題歌、挿入歌、エンディングテーマを作り唄っている。 夢を追うより呼び寄せる「夢呼人」として、 人生を何でもアニメに見立ててアニソンを生み出している。 地域のお祭り、ライブイベント、その他様々なエリアで活動中。 夢は架空のアニソンで紅白出場。 キャッチコピーは「日本一呼びやすいアニソンシンガー」